【北朝鮮核保有宣言・中国共産党サイドの反応(2)】アメリカ軍は東・西・南の三方面から中国を包囲する(新華社「瞭望新聞」−香港文匯報 05.02.21)
【北朝鮮核保有宣言・中国共産党サイドの反応(2)】

香港の親中派新聞「香港文匯報」は21日、中国国営の通信社「新華社」が編集・発行している週刊紙「瞭望新聞周刊」の最新号の記事を取り上げ、この中で北朝鮮が核不拡散防止条約を脱退し核関連施設を再稼動したことは中国の安全保障にとって直接的な脅威となり、さらにはアジア大陸へのアメリカの介入を呼び起こすものであるとして、北朝鮮の核保有に不快感を示す記事を掲載しました。また記事は、こうした状況下で進展している米国の軍事的戦略が台湾問題のみならず、チベット、東トルキスタン(新疆ウイグル地方)などの中国国内の独立の動きを誘発する要因となる恐れがあるとも論評しています。
先述したように、この記事は「新華社」系のメディアに掲載された論評であり、中国のアジア安全保障観の一面が垣間見える記事だと言えるでしょう。しかも、中国政府系の大衆向けメディアがここまで踏み込んで北朝鮮の核保有の動きに警鐘を促し、チベット・ウイグルなどの「独立」の動きと米国の対アジア戦略の関連性に触れた論評記事を掲載するのも珍しいことで、北朝鮮の「核兵器保有宣言」が発表されたこの時期だからこそ、注目する必要があるように思います。
また、この論評記事からは、中国政府がチベットやウイグルで顕著にみられる国内の「民族主義」に多大な警戒感を抱いていることも垣間見えます。
以下、「瞭望新聞周刊」の記事を取り上げた「香港文匯報」の記事の日本語概訳を掲載します。
*アメリカ軍は東・西・南の三方面から中国を包囲する(新華社「瞭望新聞周刊」−香港文匯報 05.02.21)
<概訳:まこと>
北京「週刊瞭望新聞」報道より−アジア大陸に上陸することは戦後50年一貫したアメリカの世界的戦略の重要目標の一つである。「9.11」事件はアメリカにアフガニスタン戦争を呼び起こさせ、北大西洋条約機構(NATO)を率いてユーラシア大陸の心臓部へと突入し、アジアの諸大国にとっての唯一の連絡地域を占領し、アジア最後の「資源採掘が期待できる地域」を押さえ、周辺国家の経済発展における主導権を掌握し、こうして中国・ロシア・インド・パキスタン・イラクなどのアジア大陸諸国を見下ろす体制を創ることに成功したのである。米軍はアフガニスタンを占領した後に、中国西方部に存在する潜在的なマイナス要因を引き出し、中国は東・西・南の三方面の敵を受け、中国の陸上防衛は初めてアメリカ軍の軍事力に直面し、アメリカは中国に対して直接的な脅威を構成したのである。
アメリカが今までずっと征服できなかった最後の大陸として、アジアはアメリカに対して多大な後味と夢想を与えたのである。米国の世界戦略において、アジアは思い通りにいかなかったという痛苦がある。中国がこの大陸で成長しているのは天意があるからだが、中国の安全は自ずとその特異な地理的関係の影響を受け、またアメリカの戦略の制約を受けないでいることも不可避なのであり、この両者は中国の国防環境における四つの基本的状況を規定するのである。
● 中国の周辺では対立が多い
第一の状況。中国はアジア諸国の中でもっとも多くの隣国を有しており、周辺地域での矛盾がもっとも多く、かつもっとも複雑かつ戦略的な地域である。中国は20の隣国と国境を共有し、うち陸上で接するのは14カ国、海を隔てて6カ国と相望んでおり、このため各種の地理的条件を抱えている。中国は今まで世界でただ一つ統一した大国建設を実現しておらず、また長年他国との領土紛争をもっとも多く抱えた国家でもある。近年、紛争の大部分を解決したのであるが、しかし依然として複雑な領土・領海に関する紛争が存在し、しかも海洋の権益は絶えず侵食されているのである。
● 新たな核戦力は脅威を構成する
第二の状況。新たな核戦力が中国の周辺国に聳え立って中国に対する脅威を構成し、またこれが(核配備の)連鎖的反応や外国からの干渉を招く現実的状況を誘発しているのである。インド・パキスタン両国は続々と核兵器を配備し、朝鮮は2002年末に核凍結解除を宣言して「核拡散防止条約」からも脱退し、寧辺の核施設を再稼動し、「核保有国クラブ」の仲間入りに向けて新たな一歩を踏み出したのである。これらの国々は中国の近隣諸国で、これら三国と中国との親疎の関係の度合いはそれぞれ異なるのであるが、しかし共通する点はこれらの国々が核兵器を保有するのは全て中国に対する直接の脅威を構成するという事である。これら三国の中国の安全保障に与える意味は異曲同工である。まず、インド・パキスタンは核兵器を持つことで双方の衝突の際の後ろ盾となっている。双方の衝突はいかなるものであれ中国の国益に影響し、中国西方部の脆弱な安全保障の基盤を破壊するのである。次に、ブッシュが朝鮮を「悪の枢軸」だと宣言した後、朝鮮の危機感は加速し、米朝両国の強硬政策が非理性的な方向に発展するかは中国を直接アメリカの軍事力に直面させる局面に導くのである。
● 初めて陸地で米軍に直面する
第三の状況。米国は中央アジアに切り込むことを強行したため、中国は初めて陸地で直接アメリカ軍に直面することになり、東西の海洋と陸地は中国に対する現実的脅威を構成する条件となった。アメリカがアジア大陸に上陸することは戦後50年のアメリカの世界戦略の重要目標の一つなのである。朝鮮戦争とベトナム戦争は嘗てアメリカ軍「上陸」強行の企みを遅らせたのであるが、「9.11」事件はアメリカにアフガニスタン戦争を呼び起こさせ、北大西洋条約機構(NATO)を率いてユーラシア大陸の心臓部へと突入し、アジアの諸大国にとっての唯一の連絡地域を占領し、アジア最後の「資源採掘が期待できる地域」を押さえ、周辺国家の経済発展における主導権を掌握し、こうして中国・ロシア・インド・パキスタン・イラクなどのアジア大陸諸国を見下ろす体制を創ることに成功したのである。米軍はアフガニスタンを占領した後に、中国西方部に存在する潜在的なマイナス要因を引き出し、中国は東・西・南の三方面の敵を受け、中国の陸上防衛は初めてアメリカ軍の軍事力に直面し、アメリカは中国に対して直接的な脅威を構成したのである。
● アメリカとアジア太平洋諸国の同盟が蘇る
第四の状況。中国固有の安全を損なうマイナス要因は拡大し、またアジア太平洋諸国と米国の同盟は蘇り、中国の国防における「東急西重」現象は際立っている。中国固有の国防問題は長らく「多項並挙(多くの事件が並進している)」の状況である。第一に、アメリカと台湾の軍事的関係は著しく台湾独立勢力の発展を助長し、祖国統一における政治的変事の数を増やした。第二に、南沙諸島とその周辺の海洋領域が浸食されている。アメリカの軍事・政治関係の高官は南沙諸島に関連した態度表明および関係諸国家との頻繁な海上軍事演習は中国の南沙諸島に対する主権要求に著しい脅威を与えている。第三に、「チベット独立」「東トルキスタン独立」といったマイナス要因の拡大によって中国の手足を解体しようという戦略を計画する亡霊が未だに存在する。日本のある高官はかつて「中国は分裂した国家のひとつである・・・私は中国の崩壊を切に願っている」と公然と語った。時間の推移に連れて、中国に現在存在する隠れた国防上の問題はアメリカ軍の介入によって更に悪化する。また、アメリカと日本の台湾問題における暗黙の了解事項は台湾問題を解決する際の政治的変事となっているのである。
● 安全保障のための力は未だ脆弱である
国際化の進展に伴い、国防の概念も単一的な準軍事的なものを超え、総合的な安全保障観の醸成が国際的な共通認識となりつつあるものの、ただ、軍事的・外交的な力を主体にした防衛力は依然として国家安全保障の主体である。著しい経済発展の中、中国の防衛力を構成する要素には「基礎力の弱さ、主体的均衡の不足、潜在力の増強」という特徴がある。
こうした要素は次のように表現できる。―経済における対外依存は高まり、とりわけ資源の需要と石油運輸の面がそうである。経済的安全保障における外交における対立は日に日に表面化している。科学技術発展の勢いは次第に勢いを増しているが、核心となる知的所有権の総量は限られており、情報技術の基盤は脆弱で、国防の主権は人間に束縛されるのである。
「主体的均衡の不足」とは次のように表現できる。―軍事的実力のうち戦略は一般的な軍事力に威圧を与えるもので、一般的な軍事力はただ陸上防衛に適するものであるが、情報化作戦能力はまだ高めることが可能である。現有の軍事力と情報化戦争のための力には相当の開きがある。
「香港文匯報」の記事
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