【北朝鮮・拉致事件】単独経済制裁論議の「行き着く先」への懸念(まこと)

【北朝鮮・拉致事件】単独経済制裁論議の「行き着く先」への懸念(まこと)

この一文は

*「対北朝鮮・単独経済制裁の問題について、東北アジアにおけるオルタナティブの醸成、など(まこと)」

http://watch.blogtribe.org/entry-79231be47c9b7ad1eccbb64bffe66aa1.html

の続きです。

私は本当に単独経済制裁という「手段」が、拉致問題の解決、北朝鮮の民主化の促進という「目的」に対して適切な「効果」を齎すなら「発動すべし」、こう思うわけです。しかし、

1.そもそも拉致事件が「南北対立」という東北アジアにおける冷戦構造の中で起きた惨事であるにもかかわらず、単独経済制裁という一国主義的路線に議論が傾注することによって、東北アジアでの冷戦構造の終結という課題に向けた視点や論議が等閑にされるという懸念。

2.この東北アジアの現在の外交環境は様々な国家(とりわけアメリカ合衆国と中華人民共和国)の「国益」的思惑が多層的に重なり合って形成されているにもかかわらず、単独制裁論議によってこの環境を克服するための不断の努力(とりわけ中国との関係構築)が等閑にされる、むしろ、北朝鮮が絡む問題を論議するための多国間スキーム(相当に不十分ながら六カ国協議もそのひとつ)の破壊に繋がるいう懸念。(アメリカ政府ですら、北朝鮮問題では多国間関与路線を原則としている事に注視すべき。)

3.単独経済制裁には日本国憲法という「制約」を持つ日本国が武力の代替手段として発動する「国権の発動としての報復措置」という一面もあるが、もし単独制裁で「期待」する効果が齎されなかった場合、「経済制裁ではダメだ。やはり武力を背景にして・・・」といった方向の論議に利用されるという懸念。(というより、一部の右派政治家はその辺を「織り込み済」で、なお単独制裁ムードを煽っているのではないだろうか?とすら私には思える。)

4.北朝鮮の民族主義への懸念。金正日政権の中枢部は「暴発」は即ち「自滅」の道であることを自覚していると思うが、では金正日政権に支配下にある軍や党、人民はどうだろうか?周辺諸国が対北圧迫を続ければ続けるほど、むしろ民族主義の強い北朝鮮社会の内部から自発的に(?)周辺諸国との対決路線が惹起されることはないのだろうか?とりわけ昨今は北朝鮮内部における「反革命」「反国家」的ムードの深化、ことに経済社会に関しては金正日政権中枢の歯止めすら利かない(無視している?)自発的動向が示唆されているだけに、北朝鮮における民族主義という観点から同社会内部の動向を注視する必要があるのではなかろうか?(*注)

(*注)例えば、「7.1経済改革」に関しても、金正日政権が積極的に改革路線を推進したというよりも、90年代以降の「体制に依存するだけでは食えない」軍・党関係者などよる自発的な経済活動を、政権中枢も「追認」せざるを得なかったという一面があるという分析をしている知識人もいるようです。

という事を、私は考えてしまうのです。

純粋に拉致被害者の救援を思う国民世論の「善意」の表出としての「経済制裁支持」ムードが、結果として「悪意」に転化する可能性を、私は懸念しています。

だから、対北外交交渉での単独経済制裁カードという「ブラフ」的効果を認めつつも、実際の発動に関しては冷静かつ慎重な論議と分析が必要だと思うのです。ましてや、ポピュリズムで覆い尽くされているこの日本社会の中では尚更のことです。

(追記)「アフガン・イラク・北朝鮮と日本」掲示板への拙投稿文を掲載します。

原さんへ 投稿者:まこと@残務整理出勤前(涙)

原さんの誤解は単独経済制裁疑問派・反対派を「対北融和派」とハナから決め付けている点にあると思いますよ。私は別に金正日政権に阿っているわけでは無く、単独制裁という「手段」が拉致事件の解決・北朝鮮民主化という「目的」に対して相応しい「効果」を齎すかに疑問を感じているだけです。

なお、対イラク経済制裁に対しては、サダム・フセイン政権反対派の間からも「制裁はサダム独裁体制を強化するだけだ」と、経済制裁に反対する意見が提起されていました。また、ビルマ(ミャンマー)民主化・人権擁護運動の間にも、アウンサンスーチー氏やNLDも称揚する経済制裁促進論に対し、「実効性」の観点から疑問を差し挟む向きはあります。

対北経済制裁の是非を論ずる際には、北朝鮮に特化されず、「経済制裁」一般論にも目を向けた議論も求められているのではないでしょうか。おそらく口に出さないだけで、この方面に明るい専門家の中には対北経済制裁を巡る議論に首を傾げている向きも少なくないのではないでしょうか。

あと、三菱自工や雪印の労働者の失業問題を引き合いに、対北経済支援正当論を補強するのは、筋違いだと思います。これは経営問題としては経営・企業体質のチェック機能の問題、雇用問題としてはセーフティ・ネットの問題です。雪印や三菱の労働者は、例え経営問題の結果失業したとしても、政府の政策や財界・労働界など国内での取り組みによって失業による「痛み」を緩和することが十分に可能です。ただし、現在の新自由主義的経済政策の結果として、セーフティ・ネットが十分に機能してなないという問題はあるわけで、これは政策課題として議論されるべきではありますが。

一方、(単独)経済制裁の論議は北朝鮮という国家そのものの帰趨に関わる問題であり、また主権国家間での国権発動という高度な外交問題です(クラウゼビッツは「戦争論」で戦争すらも主権国家としての外交の一形態であると言いましたね)。国内の一企業の経営・雇用問題を同一視すべきではないと考えます。

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[ ●日本人拉致問題 ] Posted by watch at 2004年12月30日 | コメント(1) | Trackback(0)



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■ UNKNOWN
TB有り難うございます。

北朝鮮問題については、経済制裁についてブログで書こうと前々から思っていたのですが、大掃除が忙しいので。



経済制裁するには「小泉下ろさんと無理」が個人的結論です(同意見の方はそれなりにいます)。

澳門とスイスを封鎖する必要があり、経済制裁をすると、小泉がいる限り、中国が意地になって援助を続ける公算が高い(最近の日中問題の影響がここにでる)。



北朝鮮問題が出た直後に靖国参拝をしたので、「本気でやる気はないんだな」とは思っておりましたが、既に邪魔。



安倍さんはまだ若いから、福田さんに変ってくれ。

福田首相・安倍外相で行ってくれと思ってます。

野党で勿論良いんですが、現実論として自民党が続くと考えたなら、北朝鮮問題を即解決するためには、福田・安倍コンビかなと考えました。
りーと  (2005-01-03 10:47:47)

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