北朝鮮と中国−中国政府は金正日体制の崩壊を望んでいるのか?という「雑談」(まこと)

【雑談】北朝鮮と中国−中国政府は金正日体制の崩壊を望んでいるのか?という「雑談」(まこと)

スカパーには「日本文化チャンネル桜」という某財団筋も肩入れしているらしい保守・右派系(?)のテレビ局があるんですが、そこで大晦日にに日本の核武装云々を扱った討論番組が放送されたので、ハードディスクレコーダーの録画設定をセットし、中国から帰国後に「ながら視聴」をしたわけですが。

本題の核武装云々はここでは紹介しませんが、興味深かったのは話が北朝鮮問題に及んだ時、出演者の一人である「救う会」の西岡力氏が「中国には『難民カード』がある、中国政府が中朝との国境を開けば難民がどっと押し寄せて、北の体制は潰れる。東ドイツが崩壊したのは難民の流出が一因だ。アメリカ議会の中にはモンゴルに難民キャンプを創ろうという話もある」と発言した時の周囲の反応。

私も「この人、中国の実情も当時の東ドイツや周辺諸国の状況、知らないのか?それとも知ってて煽っているのかな」と思いながら話を聞いていましたが、案の定突込みが入りましたね。元航空自衛隊空将の佐藤守氏が「シナ(ママ)はネパール国境付近でチベット難民の逃亡を防ぐために必死で妨害しているんですよ。そのシナ(ママ)が難民保護ですか?」と疑問を投げ掛けると、西岡氏は「いや、チベットは関係ないんですよ」と発言(何が関係ないのだろうか?)。

その後、元タイ大使の岡崎久彦氏が「中国も内心では金正日を疎ましく思っているかもしれないが、いま金体制が崩壊すれば朝鮮北部に安全保障の空白地帯が生まれる。かの地が空白になれば中国の勢力圏が南下するかもしれないし、逆に米国が北にコミットするかもしれない。そんな状況になるのは両国とも望んでいない」と発言。

外交評論家の加瀬英明氏は「いいですか、中国は民族問題を抱えているんですよ。中朝国境、ここには延辺の朝鮮系中国人がいる。彼らが中国からの分離・独立運動を大展開することを中国は何よりも恐れている。もし北が民主化したら、延辺の朝鮮民族も騒ぎ出すかもしれない。そんな事は中国も望まないだろう」と。

こうした突っ込みに対して、西岡氏からの返答はありませんでした。

私は彼らの思想性には賛同しませんが、これが常識的な見方だとは思います。私はこの対談を耳にしながら「ああ、右派系の論客も私と同じような情勢分析をしているのだな」と思ったものです。

ついでに、モンゴルに難民キャンプというのも、中国には内モンゴル問題というのもあるわけですから、内モンゴルのモンゴル人は「北朝鮮国民を保護するなら『同胞』の俺達を保護しろ!」と叫びだすでしょうし、モンゴル政府も中国との外交的軋轢を望まないでしょう。だからこそ、モンゴル政府も難民キャンプ構想には反対しているわけですし。

東北アジアの平和的秩序の構築作業を進めながらというならともかく、西岡氏にせよ「日本は核武装の可能性を検討すべきだ」などと、逆に中国政府との外交的対立を煽る路線を模索しているわけですし、西岡氏の主張は彼らの対中外交路線を今後も続けるという前提の上では「非現実的」としか思えないというのが私の感想です。

日米同盟の強化・核武装の可能性への言及、そして中国政府との外交的軋轢を拡大しながら中国政府に中朝国境の開放を求める−そんな虫の良い話が通用するとは思えませんが・・・。

(余談的追記)

あと、先日趙紫陽・中国共産党総書記が死去しましたが、既に政治的にも大衆的にも「過去の人」である「はずの」趙氏の死去に際して、中国政府は異様なほどの報道規制と警備体制を敷いています。この事からも端的に分かるように、いまの中国は内政の矛盾にいかに対処するのかで必死で、隣国の北朝鮮のレジュームが大変動することなど望んでいないのではないか、と私は思うのですが・・・。

[ ●北朝鮮の経済・社会・政治 ] Posted by watch at 2005年01月19日 | コメント(1) | Trackback(0)



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■ どうなんでしょう。
中国国内の民族問題(内モンゴル関連)を勘案しても、北朝鮮の核問題が今後比重が大きくなるにつれ、現状維持(→核武装容認)or体制変換の二者択一を迫られるでしょうし、そのときのために日米中のエリート層が(たとえ荒唐無稽だったとしても)思考実験しておくのは無駄ではないでしょう。その中からアイデアが生まれる場合もあるのですから。
Unknown (2006-10-25 12:53:37)

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